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【ゴルフギア取材の裏コラム】クラバーのピンっ!ときた話

【第2回】慣性モーメントって何?

ゴルフクラブの“やさしさ”は、まっすぐブレずに飛ぶということ!

前回のピンっ!ときた話を要約すると、PINGはヘッドの上下左右の慣性モーメント(MOI)を高めて、ミスヒットに対する寛容性(やさしさ)を一番に考えるゴルフメーカーだということ。そして、そのやさしさが平均的なボール初速をアップさせて、大きな飛距離にもつながるということだった。

今回は、その"やさしさ"について、もう少し突っ込んで話を進めていきたい。

【やさしさ】英語辞書をひくと最初にEasyとでてくるが、ゴルフクラブでいわれる"やさしさ"はもちろん、これではない。

ゴルフクラブのやさしさとは、Forgiveness=寛容性である。

MOIを大きくすると打点が多少ズレてしまってもヘッドがインパクトの衝撃で動きにくいため、
1… ボール初速が落ちず
2… 無駄なスピンが入りにくく
3… 打ち出し角度が変わりにくい
つまり、芯で打った時と同じように、ボールがまっすぐにブレずに飛ぶというわけだ。

確かに実体験としても、パーシモンや小さいメタルヘッドの時代は、ドライバーで芯を外すとボールは果てしなく大きく曲がってしまった。それが大型チタンヘッドの時代となり、ヘッドのMOIが大きくなったことで、アマチュアでもストレートに大きな放物線を描けるようになったのだ。

しかし、ボールが曲がらないからフェアウェイにボールが打てる、というものではないことも我々ゴルファーは知っている。とくに最近は右のOBにまっすぐに飛んでしまうケースも増えているのではないかと思うが……。そのあたりはどうなのだろう?ピンゴルフジャパンの開発・企画担当者に聞いてみた。

“やさしさ”を最大化する方法は人それぞれ。PINGドライバーフィッティングのススメ。

「ご指摘のように、最新ドライバーの進化した"やさしさ"を最大限に引き出し実戦に活かしていただくためには、クラブフィッティングが欠かせないと考えています。ご存知のようにPINGでは独自のフィッティングイベントを開催していますが、ここではドライバーの場合、ヘッドタイプ、シャフト長さ、適正ロフト角、シャフトの種類、グリップサイズを勘案しながら、狙った方向に打ち出せる最適モデル(スペック)の提案を行っています。狙ってもいない方向にまっすぐボールを飛ばしても意味がないからです」

FADE(トゥ寄り)STANDARD(真ん中)DRAW(ヒール寄り)に
バックウェイトを変えられる『G410 PLUS』ドライバー。

最新モデル『G410 PLUS』にはPINGドライバーで初めて、動かせるバックウェイトが採用されたが、この弾道調整システムも、主眼は狙った方向にまっすぐに打ち出すことにあり、あくまでもフィッティングの一部としての導入だという。

「DRAW、FADEと書いてあるので、ドローボールやフェードボールを打つためにウェイトを動かすように思われるかもしれませんが、そもそもは曲がり幅を抑えて狙った方向にボールを打ち出すための機能です。左右の曲がり幅を少なくしてブレのないストレート弾道を狙った方向に打ち出すための可変機能。曲がっていた弾道が、まっすぐになると飛距離は伸びますよ」

ちなみにウェイト可変のできない『G410 SFT』ドライバーもあるが、こちらは『G410 PLUS』ドライバーのDRAWポジションよりもさらにDRAW設定になっており、右曲り弾道に悩んでいるゴルファーが安心して使える、つかまりの良いまっすぐに打ち出しやすい設計になっている。こちらもシャフトやロフトをフィッティングすることで、さらに安定した理想弾道に近づけることが可能だとか。

ヒール寄りに固定式バックウェイトが装着された『G410 SFT』ドライバー。

G410 PLUS』ドライバーの可変ウェイトについて、フィッティングの際にその使い方をゴルファーごとにアドバイスしているのがPINGらしいところだ。

「フィッティングは基本的にはスタンダードポジションで理想の弾道になるようなスペックをご提案しています。それが最大のMOIを得るウェイトポジションだからです。それを基本としながらも、使っていく中で出てしまうミスの傾向や弾道傾向を想定し、その際のウェイトやシャフトスリーブの活用法をお伝えします。そうすることで『G410 PLUS』のブレない弾道をより長くお楽しみいただけると思っています」

これまでウェイトやシャフトスリーブなど、可変機能があることは知っていても、いまいち使い方がわからなかった!というゴルファーも多いのではないだろうか?PINGのドライバーフィッティングなら、それらの使い方まで含めてじっくりと相談できる。

購入スペックを決めるだけではなく、長く使い続けるためにどうすればいいか。そんなアドバイスまでくれるPINGのフィッティングプログラム。新しいクラブを買うためだけでなく、自分のことをよく知るためにもぜひ利用してみていただきたい。

これが今回のピンっ!ときた話である。

クラバー

高梨 祥明Yoshiaki Takanashi

ゴルフ専門誌のギア担当として、長く国内外のゴルフメーカーの開発中枢を取材。2013年に独立しフリーライター/編集者として活躍中。愛称のCLUBERは、GOLF CLUB LOVERを縮めた造語。

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