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クラブフィッター・鹿又芳典氏が全14本のクラブを解説 渋野日向子を勝利に導いたクラブセッティング

海外女子メジャー「全英女子オープンゴルフ」初出場にして初優勝の快挙を成し遂げた渋野日向子。

そんな渋野が同大会で手にしていたPINGの14本クラブから何が見えてくるのか。クラブフィッターの鹿又芳典氏に話を聞くと、「14本すべてのクラブで高い実力を備えたPINGの"総合力の高さ"が本領を発揮したといえる。コースで結果を出せるのが、PINGのクラブ。アマチュアもセッティングを重視すれば、自身のスコアアップにつながると思う」と。

同大会では、性能だけでなく、渋野のスイングに合うようにフィッティングした結果が出たといえる。そんな渋野のクラブセッティングを鹿又氏に解説してもらった。

解説
鹿又芳典 氏
かのまた・よしのり/「ゴルフショップ マジック」(千葉市)を主宰し、クラブフィッター、クラブコーディネーターとして活躍中。年間試打本数2000本以上で最新クラブに精通しているほか、ツアープロとの交流が深い。

令和に誕生した
"スマイル・シンデレラ"

渋野日向子 (しぶの・ひなこ)
1998年生まれ、岡山県出身。2018年にプロテスト合格し、2019年「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」にてメジャー戦で初優勝を飾る。海外メジャー1勝、国内ツアー2勝(うちメジャー1勝)。プレーの合間に見せる笑顔が魅力的なことから、海外のプレスから"スマイル・シンデレラ"と呼ばれている。
これが渋野日向子のすべてPINGによる14本のセッティングだ

各クラブをタップすると解説にリンクします。

G410 PLUS ドライバー
10.5度(ロフト:-1度/ライ角:フラット/ウェイト:STD)

ワンオンできる!絶対的な安定感

全英女子OPで魅せたこの一打
距離が短い12番(パー4)は、最終日253ヤードになりワンオンが狙える状態に。グリーン手前にクリークがあり、ミスが許されない状況だったが、渋野はドライバーで果敢に挑んだ結果、見事ワンオンに成功。バーディーを決めた。

【解説】G410 PLUSドライバーは、多くのツアープロが実戦投入し、すでに優勝もしているが、やはり"飛んで曲がらない"という安定感の高さが魅力。飛距離が求められる海外ツアーにおいても高い威力を発揮するクラブといえます。

渋野はロフト角をマイナス1度、ライ角をフラット、ウエイトポジションをスタンダードに設定。シャフトはフジクラ スピーダー569 エボリューションⅥ(SR・44.75インチ)を装着。

こうしたツアープロのフィッティングを、PINGはアマチュアゴルファーにも実施しているので、それぞれのゴルファーが最適な飛びを手に入れることができます。

G410 フェアウェイウッド
LST #3・14.5度(ロフト:STD/ライ角:フラット)
#5・17.5度(ロフト:-1度/ライ角:フラット)
G410 ハイブリッド
#3・19度(ロフト:STD/ライ角:フラット)
#4・22度(ロフト:STD/ライ角:STD)

ロングゲームの正確さが奏功

全英女子OPで魅せたこの一打
5番(パー4)は右側にフェアウェイバンカーがあり、ティショットの正確さがスコアを左右する場面。渋野はフェアウェイウッド(#3)でフェアウェイを確実にキープし、このホールをバーディーとした。

【解説】セッティング写真ではハイブリッドが#4(22度)と#5(26度)ですが、全英女子は#5の代わりに#3(19度)を投入。コースによって入れ替えていて、同大会ではフェアウェイウッド(#5)とハイブリッド(#3)の番手間の距離を詰め、ロングゲームを重視したかなり攻撃的なセッティングに。距離の長いホールでもピンを果敢に狙っていく、という渋野の強い気持ちが伺えます。

G410フェアウェイウッドハイブリッドは球が上がりやすく、グリーンでしっかり止められることからも、パーオン率を高めて試合を有利に展開した、まさに優勝の立役者といえるでしょう。

これが渋野日向子のすべてPINGによる14本のセッティングだ
i210 アイアン
#5〜#9、PW
GLIDE FORGED ウェッジ
52度、56度

高弾道で攻めてしっかりと止められるスピンコントロールと高い実戦力

全英女子OPで魅せたこの一打
15番(パー5)のセカンドショットでグリーン手前まで運び、3打目はウェッジで軽く浮かせたボールでピン脇につけ、このホールをバーディーとした。

【解説】4日間平均のパーオン率が83.3パーセント(LPGA公表データより算出)と高かったことからも明らかなように、高い弾道でピンをデッドに狙え、さまざまな状況下でもコントロール性能を発揮するといった安定したショットが打てたのは、打感の良さが特長なi210アイアンや、少ないバウンスでスピンが効くグライドフォージドウェッジの功績が大きいでしょう。

ウェッジを3本(50度、54度、58度)にする選択肢もありますが、おそらく52度、56度で確実に狙える距離があると考えられます。ショートゲームでボールをしっかりコントロールしたことで、確実にゲームメイクできたのだと思います。

SIGMA2 ANSER パター
プラチナム仕上げ

精度の高さが最終日に威力を発揮

全英女子OPで魅せたこの一打
最終日はバックナインでパッティングが好調になり、同日バーディーを7つ奪取。圧巻だったのは18番、勝敗が分かれる約4.5メートルのバーディーパットを見事に沈めて、優勝をたぐり寄せた。

【解説】やはりパターに絶対的な信頼がなければ、あのような見事なパッティングは存在しなかったでしょう。

シグマ2パターは、打音や打感といった感性で距離感をイメージしやすく、多少ミスしても転がる距離が変わらないTR溝の効果もあって、常に安定したパッティングが可能です。

渋野は長さを33インチ、ライ角を2度フラット、グリップをピストル型にすることで、自身のストロークにフィットさせています。パターの高い性能とフィッティング効果が奏功した結果だと思います。

パーゴルフ 8/27売り 9/10号掲載
ライター 清水 晃(メディアサンライツ)

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