PINGのパターには、長い歴史の中で多くのゴルファーやツアープロに愛されてきたヘッド形状があります。
そのひとつが『B60』です。
そして2026年、「ニトリレディスゴルフトーナメント」では、PING契約の佐久間朱莉選手が『SCOTTSDALE B63』を使用して優勝しました。
実は2020年、佐久間選手がプロテストにトップ合格したときに使用していたパターは『VAULT 2.0 B60』。
『B60』と『B63』。この2つのパターには、どんなつながりがあるのでしょうか。
佐久間選手の優勝をきっかけに、PINGパターに刻まれてきた“B”の歴史を紐解きます。
そもそも『B60』の“B”って何?
『ANSER』『DS72』など、PINGのパターにはさまざまな名前が存在します。
では、『B60』の“B”は何を意味しているのでしょうか。
答えは、そのヘッド形状にあります。
『B60』は、構えたときにヘッドが「B」に見えることから名付けられたパターです。

薄いトップレールと、丸みを帯びた後方形状を組み合わせたミッドマレット。
ブレードのようなすっきりとした見え方を持ちながら、後方にもボリュームを持たせた独特のシルエットが特徴です。
『B60』の歴史は1970年代から
『B60』の歴史は、1970年代まで遡ります。
PING創業者カーステン・ソルハイムによって生み出された『B60』は、1978年に米国で意匠特許を申請。同年、オレゴン州ポートランドで開催されたLPGA「PING Classic Team Championship」で初めて披露されました。
その後、『B60』はツアーで数々の勝利を積み重ねていきます。
PINGには、PINGパターを使用してツアーで優勝した選手に、その勝利を記念した「ゴールドパター」を贈る伝統があります。
PING本社に保管されているゴールドパターで、男子選手の勝利で最も多いモデルが『ANSER』。一方、女子選手では『B60』が最多です。
『B60』は、歴代PINGパターの中で女子選手の最多勝利モデルとなっています。
PING本社(アリゾナ州)にある「ゴールドパター保管庫」とPING創業者カーステン・ソルハイム
1970年代に誕生した『B60』は、その後も時代ごとのテクノロジーを取り入れながら、PINGのパターラインアップに登場してきました。
そのひとつが、2018年に登場した『VAULT 2.0 B60』です。
「女子ツアー勝利数No.1モデルの進化版」として登場した『VAULT 2.0 B60』。そして、このパターを2020年のプロテストで使用していたのが、佐久間朱莉選手でした。
“B”の形は、現在の『B63』へ
そして現在、『B60』をルーツに持つモデルとしてラインアップされているのが『SCOTTSDALE B63』です。
ここで、佐久間選手がかつて使用していた『VAULT 2.0 B60』と、現在の『SCOTTSDALE B63』を並べて見てみましょう。

世代の異なる2つのパターですが、こうして並べてみると、丸みを帯びた“B”らしいシルエットに共通点があることが分かります。
一方で、細部にはそれぞれの時代の違いも表れています。
『VAULT 2.0 B60』は、薄いトップレールが特徴。一方の『SCOTTSDALE B63』は、従来の『VAULT 2.0 B60』よりもトップレールに厚みを持たせ、ヘッドサイズもやや大きく設計されています。
さらに、見た目にも分かりやすい違いがネック形状です。

『SCOTTSDALE B63』には、ANSER 3スタイルのショートスラントネックを採用。『VAULT 2.0 B60』とは異なるネック形状によって、アドレスしたときの見え方にも違いが生まれています。
そして、フェースにも現在のPINGのパターテクノロジーが取り入れられています。
『SCOTTSDALE B63』には、新PEBAXインサートを搭載。
フェースを軽量化することで生まれた余剰重量をヘッドの適切な位置へ配分し、MOIを高めながら、ソフトな打感と心地よい打音、安定したボールスピードを実現しています。
つまり、『SCOTTSDLE B63』は『VAULT 2.0 B60』をそのまま復刻したパターではありません。
『B60』を象徴するシルエットをベースに、ヘッド形状、ネック、フェーステクノロジーを現在の設計へとアップデートしたモデルが『B63』です。
約半世紀前に生まれた“B”の形が、現在のPINGのパターテクノロジーと組み合わされています。
そして再び、“B”が佐久間朱莉選手の手に
2020年度のJLPGA最終プロテストで『VAULT 2.0 B60』を使用していた佐久間朱莉選手。
『VAULT 2.0 B60』を手にトップ合格
2026年シーズン途中、新たに手にしたのが『SCOTTSDALE B63』でした。
佐久間選手は長く『SCOTTSDALE DS72』を使用していましたが、今シーズン途中から『SCOTTSDALE B63』へスイッチ。
『SCOTTSDALE B63』の形状は、かつて使用していた『VAULT 2.0 B60』に近く、構えたときの安心感もスイッチを後押ししたポイントのひとつでした。
そして「ニトリレディスゴルフトーナメント」では、3日目25パット、最終日27パットを記録。
最終18番では約3.5メートルのバーディーパットを沈め、今季2勝目、ツアー通算6勝目を挙げました。

プロテストトップ合格時の『VAULT 2.0 B60』から、ツアー6勝目を挙げた『SCOTTSDALE B63』へ。
佐久間選手にとって“B”の形は、プロとして歩み始めた頃から馴染みのある形でもあるのです。
「佐久間朱莉選手、今季2勝目!勝利を支えた14本と、その舞台裏」記事はコチラから
約半世紀を経て、再びツアーの舞台へ
1970年代に誕生した『B60』と、現在の『B63』。
その間には、約半世紀という時間があります。
次に『B63』を手にするときは、その性能だけでなく、アドレスしたときに見える“B”の形にも、ぜひ注目してみてください。
そのシルエットには、PINGが積み重ねてきたパターづくりの歴史が刻まれています。
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